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肥満の話

誰もがご存じの通り、正常より太りすぎのことを肥満といい、人では糖尿病、高血圧、 心臓病などを起こしやすく、またスタイルも損なうので多くの注意が払われています。   今回は、肥満についてそれ自体が病気であるという認識を持っていただくため、肥満と その恐ろしさについてお話ししましょう。


■肥満の原因                                       
1.食べ過ぎ・・・・・市販のおいしい高栄養ペットフードしか食べないとか、おやつや間食が多いのが原因です。肥満の一番の原因でもあります。   2.運動不足・・・・・散歩が足りなかったり、年をとって運動量が減ってしまうことにより起こります。                      3.去勢・避妊手術・・手術をすることにより、雄雌としての生殖活動ともなうカロリーの消化やストレスがなくなりますので、今まで通り食事させてい            ると太ってしまうことがあります。             
4.病気・・・・・・・甲状腺機能低下症、クッシング症候群、高脂血症などにより、肥 (内分泌疾患)満が起こることがありますが、このタイプが原因
            になることはまれです。                           

基本的には、入るカロリー量(食事によって摂取するカロリー量)と出るカロリー量 (運動などで消費するカロリー量)のバランスによって体重の増減が起こります。ですか ら日頃から体重測定をすることによって適正な食事量を見つけておいてください。     
長毛種の飼い主の方で、「太らせていると毛艶がいいの」とおっしゃる方がいますが、 それは、餌の質がその子に合っていないからそうなるのです。毛艶をよくしようと思ったら、不飽和脂肪酸、ビタミンや亜鉛などの微量元素が適正に含まれる必要があります。粗 悪なフードにはそれらが少量しか含まれていませんから、必要量摂取しようと思ったら量 を多く食べるしかなくなります。毛艶がよくなる変わりにカロリーの摂取過多による肥満 も起こしてしまいます。そのような子には、長毛種用の餌を与えるべきです。いわゆる高 級FOODといわれいてるものです。

「そんなものあげてたら破産しちゃうは」と思われるかもしれませんが、うまく移行できれば、一回に食べる量が激減しますから、結局は安くつくことの方が多くなります。またその手のFOODはそのほかの部分でも品質がいいですから 食事に由来する疾病が減りますから医療費の面でも得します。私の今までの経験から、よ いFOODを食べている子はそれこそ風邪もひきません。ホントです。


■肥満の怖さ                                     
先にも述べましたように肥満は健康を損ない、色々な病気になりやすくさせてしまいま す。10%〜15%の体重増加(適正体重10kgの犬の1.5kg、同じく4kgの猫の0.6kg)で体に悪 影響が出てきます。                                 
ではどんな病気になりやすいのでしょうか。主な病気を列挙してみます。      

1.心臓病やある種の高血圧(約74%の発生率増加)。                
2.糖尿病、肝臓病(脂肪肝)、便秘など。                     
3.足、腰の無理による関節炎、椎間板ヘルニア(約57%の発生率増加)。       
4.腫瘍(癌)など(約50%の発生率増加)。                    
5.バイ菌やウィルスに弱くなり、風邪を引きやすくなり、傷も治りにくくなる。    
6.皮膚病になりやすくなる。                           
7.雌の場合、難産やいわゆる生理不順(発情周期の乱れ)の原因になる。       
8.手術における麻酔の危険率が増す。                       
9.雄猫の場合FUS(猫泌尿器症候群)になにりやすい。                

肥満になると、それだけ脂肪組織が必要以上に多くなる訳ですから、当然心臓はその脂肪組織のためにも血液を循環させなくてはいけませんからオーバーワークになってしまいます。
脂肪1kg増えると血管は細いのも含めて3000m延長されたことになります。心臓は疲れてしまいます。
また皮下脂肪も増えますから、皮膚への栄養血管にも負担がかかり十分に栄養をいきわたせなくなり、皮膚病になりやすくなったり、傷の治りが悪くなったりします。いいことはなにもありません。  


■家庭での注意点                                 
まず第一にご家庭のワンちゃん、ネコちゃんが肥満かどうかを知ることです。      

1.まず理想体重を知る。これは成長期から1年以内の体重が目安になります。      
2.肋骨(胸)を触ってみて、肋骨がすぐに判らないぐらい皮下脂肪がついていたら、それは肥満です。
3.猫では、おなかのしたにたるみがあったり、おなかがぽっこり出ていたりしたら、それも肥満です                              
もし判らなければ、動物病院で相談してみてください。                  
見た目全然太っていないのですが、ひょんなことから腹部のレントゲン検査をしてみたら思った以上に体脂肪が付いていたなんてこともあります。
もともとが細い体質の子が少々太ってもなかなか判らないことがあります。ですから若い頃(生後半年から1年ぐらい、 大型犬だと2年ぐらい)を思い出してみてください。写真なんかがあるといいのですが。  


■予防と減量
肥満の予防と減量。これは人間同様とっても難しいことです。太らせる方が1万倍楽とはよく言ったものです。
ご家庭のワンちゃんネコちゃんに”ゴハンほしいよー”と切ない 瞳で見つめられたらたいていの飼い主さんは、おいしいご食事を与えてしまうでしょう。
でもその一瞬の愛情!?が長い目で見ると、結果的に動物達を苦しめる原因となってしま うのです。動物達は自分では冷蔵庫は開けません(中にはいるようですが)。でから体重 管理は飼い主さん次第と言うことです。  

予防と減量は飼い主さんの協力なしでは決してうまくいきません。そのことを認識した 上で、ワンちゃん、ネコちゃんの健康を飼い主さん自身で維持してやってください。現在 では減量食や肥満予防食などのFOODも沢山あります。絶食などさせなくても体重調整は出 来るのです。減量の要点を挙げておきます。

1.あわてないこと。半年1年かけて理想体重に近づけてください。1日に一粒ずつドライフードを減らす感覚でやってください。急に食事量をへらすと空腹感が強く出ますので”ゴハンー”の意志表示が強くなります。またあまり急に食事量をへらすと飢餓状態になって色々な悪影響が出てきますので注意してください。(カルシウム不足により骨から脱灰が起こり、骨がもろくなったりします)

2.良質のFOODを使うこと。量を減らしますからビタミンなどの微量に含まれるものが不足しないようにする必要があります。

3.運動量の管理。”食事を減らしているのだから運動量もへらさなきゃ”これじゃ何年やっても減量できません。かえって運動量は増やしてください。運動量を増やすことによって満腹中枢が刺激されて少ない量の食事でも満腹感が得られるようになります。また消化管運動も活発になりきちっと消化吸収が出来るようになります。

4.一般食でうまくいかない場合には、減量食を使います。これは乾燥重量の約25%が消化できない繊維質からなっていますので、食べた量の4分の1は嵩だけというわけです。ただし便の量は増えます。このFOODを使って上記の1〜3のことを実行していただければ間違いなく減量できるはずです。


■減量の注意点
減量の注意事項ですが、成長期には減量は絶対にしないでください。
特に減量食は禁忌 です。成長不良をおこし将来色々な病気の原因になってしまいます。そもそも成長期には 肥満はないと思っていてください。人間のように非常にゆっくり成長する動物ならいざし らず犬や猫のように急速に成長する動物では意図的に肥満にしようと思わない限りなりま せん。少々体重オーバーしているなら餌の量をしばらく一定にするだけで、成長が早いで すからあっという間に適正になってしまいます。成長期には、幼犬や幼猫用のFOODを与え てしっかり成長させてあげてください。どうしても体重オーバーのままでも、減量は、成 長期が終わってからゆっくりとおこなってください。  

減量も、一歩間違えれば大変なことになります。判らないことや心配な場合には、動物病院で相談してください。 


 
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