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猫ちゃんのアレルギーあれこれ

猫にも、アレルギーやアトピーがあるってご存じでした? 
今回はそのあたりのことに ついてお話ししましょう。  
アレルギーに似た言葉に、アトピーとアナフィラキシーと言うものがあります。混乱し ないために、今回ここでは吸入性の物質で起こる反応をアトピーといい、それ以外の接触 や食事性の物をアレルギーといいます。全身性の致死的反応をアナフィラキシーとします。 学問的な分類とは一部違うかもしれませんが、このほうがわかりやすいと思います。また 人医領域と獣医領域では若干分類法に違いがあることも付け加えておきます。  
それでは、個々アレルギーについてお話しする前に、アレルギーの概略について触れて おきます。少々眠たくなる話ですがおつきあいください。
尚、今回は自分自身の組織に対 してアレルギー反応を起こす、AIHA(自己免疫性溶血性貧血)や全身性紅斑性狼瘡や 天疱瘡等の自己免疫性疾患は除外します。猫ではまれな病気ですから。


総論   
アレルギーもアトピーもアナフィラキシーも日本語にすると過敏性反応です。本来猫が 持っている外からの進入物を退治するための免疫機構が行きすぎた働きをしているのが過 敏性反応です。過ぎたるは及ばざるが如しの典型です。この過敏性反応は大きく分けて4 つに分類できます。 T型は、即時型過敏症といわれ、免疫グロブリンの一つのIgEが主役です。アナフィラ キシーもこの反応の一部です。アトピーや食物アレルギー、薬物アレルギーの一部がこの 型です。 U型は、細胞毒性反応とも言われIgGとIgMが主役を務めます。寒冷蕁麻疹等がこの 型です。 V型は、免疫複合体過敏症ともいわれ、補体が主役です。全身性紅斑性狼瘡がこの型です。 W型は、細胞介在性過敏症といわれ、リンパ球が主役です。アレルギー性接触性皮膚炎や 一部の寄生虫性過敏症がこの型です。 T型が最も反応が早くU型、V型と徐々にゆっくりの反応になりW型が最も遅い反応で、 数日から数週間後に反応が現れることがあります。  アレルギーの原因となる物質のことを、アレルゲンといいます。花粉症のアレルゲンは 杉などの花粉ですし、アトピー性皮膚炎のアレルゲンは、卵だったりします。  それでは個々のアレルギーについてみていきましょう。


ノミアレルギー性皮膚炎  
猫で最も多く見られる、アレルギー疾患で、T型とW型の複合アレルギーと言われてい ます。腰背部に粟粒性皮膚炎(かさぶた状のものがついたぶつぶつで、ブラッシングする とガリガリとひっかかる発疹です。)を伴った痒みの強いもので、脱毛も伴います。  
ノミアレルギーは、長期間多数のノミに刺される(吸血)ことにより発現してきます。 ノミは、猫から吸血する際にその血が固まらないように抗凝固成分の入った唾液を吸血に 先立って刺したところに注入します。この唾液の中にアレルギーの原因になるアレルゲン が含まれています。また刺されたときに痒くなる原因も同じ物質だと言われています。で はどのくらいの期間、どの程度のノミが寄生しているとノミアレルギーになるかというと、 これは猫によってまちまちです。アレルギーは体質に強く影響されますので、アレルギー 体質を持っていると、あっという間になってしまいますし、そうでないと10年間どっちゃ りとノミを背負っていてもアレルギーにならない猫もいます。アレルギー体質を持ってい る猫で、半年ほどある程度のノミの寄生を許しているとなるようです。ですから春先から ノミがいるのにほっとくと秋には、りっぱなノミアレルギーができあがっています。  

ノミ刺咬症での痒みは、寄生しているノミの数に比例してひどくなりますが、ノミアレ ルギーは、ノミがいるかいないかです。1匹いてそのノミが1回させばあのぶつぶつが一 気に出来てきて、ものすごく痒くなります。ノミアレルギーになってしまうと、ノミが1 匹でもいるかぎり痒みは止まりません。 治療は、まずノミを完全に退治することです。1匹もいなくなれば時間とともに痒みは 収まります。どうしてもノミの退治が完全に出来ない場合や、痒みがひどい場合はステロ イド剤(副腎皮質ホルモン剤)を使用します。外用ですと、あっという間に舐め取ってし まいますから、内服か注射の方がよいでしょう。  
予防も、ノミを近づけないことです。現在は、月に一度飲む薬や、スプレータイプのい い薬がありますから、動物病院で相談してみて下さい。秋になって涼しくなったからと言っ て安心しないで下さい。ノミの繁殖は主に家の中です。暖房をするようになるとまたぞろ ぞろ出てきますよ。


食物アレルギー性皮膚炎  
食事の中に、含まれるタンパク質が原因で起こってくるアレルギーで、人ではアトピー 性皮膚炎と言われているものです。猫では犬ほど多くはありません。痒みは、必発症状で、 丘疹や水疱をともないひどい場合には皮膚潰瘍にもなります。好発部位は頭部や頚部です が、全身的に症状が出る場合もありす。T型ないしV型のアレルギーと言われています。 人間のように、消化器症状や呼吸器症状を伴うことはありません。  
診断には、ノミアレルギーや接触性アレルギーを除外でき、ステロイド剤がよく効く場 合には、食事性アレルギーを疑って、まず除外食を試してみます。発生頻度の高いタンパ 質、たとえば鶏肉や豚肉を使っていない食事を与えてみます。これを試して効果がはっきりしない場合には、厳格食を試します。牛肉とお米だけというように材料を極力少なくし て試してみます。1つの食事は最低1ヶ月続けなければ効果ははっきりしません。これら の食事で症状が消えたら、もう一度もとの食事に戻してみます。また症状がぶり返したら 間違いなく食事性のアレルギーです。除外食で原因物質がはっきりしている場合には、そ の食材を与えないことです。厳格食の場合には、少しずつ食材を増やしていきます。その 場合も最低2週間ごとに増やして下さい。あまり早く増やすとぶり返したときに、何が原 因だったか判らなくなってしまいます。食事療法が出来ないほど痒みがひどい場合にはス テロイド剤も併用します。もしステロイド剤にあまり反応しなければ、食事性アレルギー ではないかもしれません。アレルギー全般にいえることですが、ステロイド剤が劇的に効 果を示します。  

予防は特にありません。人の分野では色々言われていますがまだこれと言った定説がな いように、猫においてもありません。


接触性アレルギー  
猫では稀ですが、時としてプラスチック食器の有機溶媒で起こすことがあります。食事 にプラスチック製の器を使っていて、口の周りだけを痒がる場合には可能性がありますの で、ステンレス性の物に変えてみて下さい。収まれば接触性のアレルギー性皮膚炎です。 金属アレルギーの場合は、その逆を行います。


薬疹  
薬剤に対するアレルギーで、ひどい場合にはアナフィラキシーショックを起こし死に至 ることもあります。原因となる薬剤は様々で、痒み止めの抗ヒスタミン剤で起こすことも あります。痒み止めを使ってよけいに痒くなるなんて笑い話にもならないことが起こりま す。薬を使ってからよけいに痒くなったとは猫は言ってくれませんからなかなか判らない ことが多いようです。猫においては、その発生メカニズムは、はっきりしていません。  
治療には、ステロイド剤を使用します。


吸入アレルギー  
人の花粉症に相当するもので、獣医領域ではこれだけをアトピーといいます。以前は猫 にはアトピーはないと言われていましたが、発生頻度は低くいけれどもあるようです。原 因は、ぶたくさなどの花粉が多いようです。まだはっきりしたことは、判っていません。

参考文献:「猫の内科学」文永堂出版


 
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