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身体の不自由な猫のケアー

今回は、少し趣を変えて身体が不自由な猫の日常の健康管理についてお話しします。老 齢の猫や交通事故で、体の機能の一部を失った猫は、人間が手を貸してやらなくては生きては行けません。現在元気な猫でも病気で高熱を出して動けないとき等には参考になると思います。  


■食事管理                                      
まずは、生きていく上で最も基本の食事管理から。                  
少しでも自力で食べる気力があり、時間がかかっても必要量を食べられるのなら猫に食 事はまかせるべきです。飼い主がしてあげることは、少しでも食べやすい環境を作ってあ げることです。たとえば前足が不自由で寝転がったままでしか食事が出来ないのなら、器に入れるのではなく、床にシートを敷いて直に餌をまいて食べさせて下さい。手から食べ させてあげても結構ですが、これですと好きな人の手からなら食べるけれど、そうでない人からでは食べないかもしれません。入院したり、飼い主さんが旅行に行ったときなどに 困りますから、極力自力で食べられるよう普段から練習しておいて下さい。       
食事の所に自力で移動できない場合には、定期的に食事の所へつれていってあげて下さ い。また空腹時にはなんらかのサインを飼い主に送っているはずです。それを見つけられ るように観察をして下さい。それが判るようになったら、そのサインが出たら食事の所へ つれていってあげて下さい。食事の量が足りているかどうかは、定期的に体重を量って判 断して下さい。体重は一定を保つようにして下さい。                  

器から食べられる場合には、今まで通りで結構ですが、器を平べったい物にしてあげる方が快適かもしれません。猫は、ひげが器に触るのをいやがります。元気なときには気に するほどのことでもないかもしれませんが、あまり気分の優れないときには食事量を大き く左右します。交通事故で口周辺の大怪我とか、神経障害で咀嚼嚥下が出来ないような場合、また体調 不良からくる食欲不振の場合には強制給仕をすることになります。            

喉の反射が正常で、口を開けることが出来るのならペースト状のフードを先の太いスポ イド等で口の奥の方に入れてあげれば食べられるはずで。あまり無理にやろうとすると、 猫は意識的に食べた物を吐き出しますから、最初はゆっくりやって下さい。        
口を経由して食事を摂ることが出来ない場合には、胃までチューブをいれて流動食をや ることになります。チューブを鼻から入れるのを経鼻カテーテルといい、喉に穴をあけて入れるのを咽喉頭フィステルといいます。両者一長一短ですから選択は、獣医師に任せて下さい。ここで気をつけなくてはいけないのは、一回の量です。一気に大量の流動食を入れると胃が受け入れられずに嘔吐します。正常なら心配ないのですが、喉が麻痺しているとか、顎の骨折で口が開けられないようなときにこれが起こると、吐いた物が肺に吸い込 まれてしまいます。大量ですと命に関わります。ですから最初は少ない量からにして下さ い。それと流動食はかならず人肌まで暖めてからやって下さい。急に冷蔵庫から出したば かりの冷たい物をやると少量でも嘔吐します。
このあたりのことについてはかかりつけの 獣医師によく説明を受けた上で練習してからにして下さい。


■排便排尿管理                                    
食べたら出す。自然の摂理です。体が不自由になると排便排尿も一苦労です。      
トイレにつれていけば、自力で排便排尿出来るのなら定期的にトイレにつれていってあ げて下さい。ふんばれないのなら、おなかの下に手を入れるとかサポートしてあげて下さい。                                         
トイレにつれていってもいっさい排便排尿をしない場合は直腸マッサージと膀胱マッサー ジで排便排尿させてあげます。膀胱マッサージは、下腹部に触れる膀胱をそっと陰部の方 へ押し出すようにマッサージします。あくまでそっとです。あまり強くやりすぎると膀胱 破裂を起こします。直腸マッサージは、腰の背骨の下にある直腸を、中にたまっている宿便を肛門に押し出すように行います。これも膀胱マッサージと同じであくまでそっとです。 太っていて脂肪の沢山付いている猫では直腸が判らない場合があります。その場合は無理 にマッサージで出そうとはせずに浣腸を行います。                  
今度は逆に、垂れ流し状態の場合です。便の場合固いよい便を出すのであれは、出たと きに取ってあげれば大丈夫です。下痢の場合は大変です。肛門の締まりが悪い猫は、慢性 的に下痢をしていることが多いです。そのような猫の場合は、腰から後ろの毛を刈ってし まって下さい。その上でおむつをしてあげるのですが、なかなかよい物がないようです。 人間の赤ちゃん用の一番小さい物に、しっぽの穴をあけて使うのもいいかもしれません。 おむつをいやがるようならペットシーツの上でということになりますが、ある程度移動が 出来る猫ですとどこでするか判りませんから、見ていられないときはサークルかケージの 中に入れておくことになります。そして排便や排尿があったらすぐにとってきれいにして あげて下さい。このとき毛を刈ってあると簡単に出来ます。きれいにするのには、やはり 赤ちゃん用のお尻ふきが便利です。あまり長時間便や尿にさらされていると皮膚が赤くただれてしまいます。褥創の原因になりますからこまめにきれいにしてあげて下さい。     

肛門閉鎖や尿道閉塞の場合は、人工肛門や尿道カテーテルを用いて排便排尿させますが、 ここまでくると完全に治療の一環になりますので今回は省きます。かかりつけの動物病院でお聞き下さい。 

■褥創(床ずれ)の防止                                
身体が不自由で、特に寝たきり状態での一番の問題は褥創の管理です。食事や排便排尿 は、それなりの道具や技術が確立されていますから何とかなりますが、褥創だけはどうに もなりません。猫は、人や犬に比べると褥創は出来にくいと言われていますがそれでも寝 たきりになると出来ます。ある程度動けて、自分で寝返りが出来る内は大丈夫ですが、向 きを変えるのも大変になってきたらあっと言う間に褥創が出来ると思って下さい。それこ そ半日でりっぱな褥創が出来ます。一晩うっかりなんてことで出来てしまいます。     

まずは、褥創が出来ないようにすることですが、一言で行ってしまえば頻繁に向きを変 えてあげることです。たとえウォーターベットの上でも、同じ方向で寝ていると出来てし まいます。あとは極力柔らかい物の上で寝かせてあげることです。褥創の出来やすい場所は、肘、肩、腰骨、膝等の関節や骨が皮膚に直接接しているよう な場所と、あとは胸の両側です。胸は呼吸で常に動いていますから、年がら年中床やベットとすれている状態です。以外と落とし穴です。後は出来やすい場所は、向きを変えたと きに軽くマッサージをしてあげて下さい。局所の血行をよくすることでも褥創防止になり ます。                                        

褥創が出来てしまったら、今度はキズの管理とそれ以上は出来ないようにすることです。 以前は、褥創の治療には極力乾燥させることと言われていて、パウダーの抗生物質や創傷 治癒剤を使用しましたが、現在ではある程度の湿り気があった方が治りがよいとされてい ます。軟膏やクリームを使用して治療していきます。出来てしまった褥創は極力下にしな いことですが、そんなこといっていたら反対側にすぐ次の褥創が出来てしまいますから、それまで以上に頻繁に向きを変えてあげることと、褥創にパット等をあてて極力力がかか らないようにしてあげます。感染だけは絶対に避けなければいけないことですから、キズ の消毒は頻繁にやって下さい。便による汚染などはもってのほかです。 


今回お話ししてきたことは、大部分が獣医が行う医療行為と、家庭で行うケアーの端境 の話です。ですから主治医との連携が重要ですから、連絡を密にして猫が気持ちよく暮ら せるようにしてあげて下さい。一部医療行為に属することも飼い主がやることになるかも しれません。その場合には、十分に主治医の元で練習した上で行って下さい。


 
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