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気をつけたい耳鼻科系の病気

今回は、耳鼻科のお話。まずは耳から。耳というと耳たぶ(耳介)から鼓膜までの外耳 部分を思い浮かべますが、実際にはその奥に中耳、内耳と続き、内耳には平衡感覚を司る大事な器官があります。耳の病気を侮ってはいけません。命に関わることだってあります。 まずは見える部分から、お話を始めましょう。


耳血腫 
強い外力が耳介に加わり、耳介に分布する血管がやぶれ皮膚と耳介軟骨がはがれ その間に血液がたまる病気です。大きめのビー玉が耳にくっついているように見えます。 原因は、主に外耳炎等で痒いために掻きすぎによるものが大半ですが、時には猫同士の喧 嘩や交通事故が原因になることもあります。治療法は、圧迫によって治す方法と、手術に よる方法があります。どちらで治療しても耳介の形が幾分変形してしまうことは覚悟して おいて下さい。

外耳炎
猫は耳の中に毛が少ないので、犬に比べると外耳炎の発生は少ないようです。 
猫の外耳炎は、外耳道部に細菌や真菌が感染したり、耳ダニが寄生することにより起こります。たまに異物が入ったり、シャンプーが入ったりして起こすこともあります。症状は、 原因や、病勢によって違ってきますが、共通しているのが発赤、痒み、耳垢の増加などで ひどい場合は痛みや浸出液、悪臭等が認められます。この痒みが原因で耳血腫を起こすこともあります。外耳炎もほっとくと、潰瘍性になったり、鼓膜を突破して中耳や内耳まで 炎症が波及することがあります。治療は、外耳道部の清浄化、適切な薬物の使用です。ひどくなってからの治療ですと、外耳道部の炎症がひどく、洗浄が出来ないことがあります。 その場合は、薬物の全身投与を先行させ、炎症がおさまってから洗浄になりますので治癒 まで1ヶ月以上かかることもあります。ですから頻繁に顔を振るようになったり、後ろ脚 でしきりに耳の後ろを掻いていたりしたら要注意です。耳の中を見て、いつもより赤かっ たり、耳垢が沢山見えたり、匂いが臭かったりしたら直ちに動物病院へ行って下さい。     

耳ダニ
(耳疥癬)
ミミヒゼンダニの外耳道への寄生によって起こる、外耳炎の一つです。 ミミヒゼンダニは、皮膚表面に寄生して、皮膚組織内に刺入する事はありませんが、強い 痒みを伴った炎症を誘発します。炎症は外耳道からひどい場合には、耳介部にまで波及します。このダニは、よく見ると肉眼でも確認することが出来ます。0.5mm程度の白っぽい ダニがチョコチョコ動いているのが確認できると思います。このダニは、日本全国で普通に見られます。症状としては、強い痒みです。そのことにより耳介部や耳の後ろを掻いたり、異常に首を振ったりします。固い物にこすりつけたりすることによる擦過傷を引き起こしたりもします。また耳垢は、黒く乾燥した物が多量に外耳道内にたまります。治療は、 外耳道内を清浄化した後に、殺ダニ剤を塗布することによって行います。殺ダニ剤は、若 ダニや成虫にはよく効きますが、卵には効果がありません。ですから一度の治療では、すぐに再発してきますから、2回から3回の治療が必要になります。獣医師の指示に従って 治療して下さい。                                

中耳炎
中耳は鼓膜の内側の耳道のことで、そこになんらかの原因で感染が起こった状態 を中耳炎といいます。中耳炎の原因には、鼻炎などから耳官を通して感染を起こす原発性 と外耳炎がひどくなり鼓膜をやぶって中耳炎になる続発性の2つに分けられます。中耳炎 には特徴的な症状はありません。原発性の場合、外耳道からは鼓膜がじゃまをして直接診 ることは出来ないために、内耳炎を併発して初めて判ることが多々あります。続発性の場 合は、鼓膜が破けていますから直接内耳を診ることが出来ますので、感染の有無や程度を 的確に把握することが可能で、中耳炎の確定診断も比較的容易に出来ます。治療法は、原 発性の場合まず抗生物質などの薬物の全身投与を行います。効果が見られない場合や、膿 の貯留が確認できた場合には、全身麻酔下で外部より針を刺入吸引して排膿させ、薬物の 局所注入を行います。続発性の場合は、外耳炎の治療と同じで耳道内の洗浄と、抗生物質などの薬物の局所ないし全身への投与です。ただこの場合鼓膜が破れているので圧力をか けての洗浄や刺激性のある洗浄液は使えませんので、治療はおのずから長引きます。  

内耳炎
聴器官や三半規管を含む内耳部の炎症です。原因は、中耳炎と同じく原発性と続 発性があります。三半規管等が侵されない限り特徴的な症状はなく、発見が遅れることが あります。また中耳炎との判然たる区別は出来ません。病状が進行して、三半規管が侵さ れると、斜頸や眼球振盪(眼球がゆらゆら揺れること)等の神経症状が出てきます。  
治療は中耳炎と同じです。だだ鼓室胞内に炎症が波及した場合には、外科的に切開し洗浄します。三半規管のダメージが大きい場合には後遺症が残ります。              

扁平上皮癌 紫外線により誘発される皮膚癌の一種で、耳介部に発生する悪性の腫瘍です。 慢性の日光性皮膚炎に続いて起こると言われており、耳の毛の白い猫に多い傾向がありま す。耳介の周囲がただれてきて、一般的な治療に反応しない場合は、組織検査をする必要 があります。治療法は、外科切除しかありません。現在インターフェロンの投与などの新  しい治療法が検討されており、近い内に内科療法で治癒できるようになるかもしれません。 耳道内ポリープ 中耳から外耳にかけて発生するポリープです。発生元は中耳が多いよう  ですか、多くは外に向かって成長しますので、鼓膜を破って外耳道内にも進入してきます。  鼓膜を破ることでその耳は聞こえなくなってしまいます。また運悪く内耳側へ成長すると、 鼓室胞やその周辺の平衡感覚を司る器官を侵しますので、顔を傾けるようになります。正 常側の機能でまっすぐ歩いたりする事に支障は来しませんが、猫特有の機敏な動きは無く なります。治療法は、外科的切除しかありませんが、完全切除は不可能なことが多く、再発します。                                   
耳官閉塞

耳官は、中耳と鼻腔をつないでいる直径2mm程の管で、内耳内圧を大気圧と同 じに保つ役割があります。皆さんも、鼻をかむときに耳の奥の方で”パーン”と言う音を 聞いたことがあると思いますが、これは鼻腔内圧が上がったために中耳内圧も上がるため に起こることです。ダイビングの時の耳抜きも同じ原理です。耳官で連結しているから起 こることです。耳官閉塞は、中耳炎から併発してきます。症状は、中耳内圧の上昇によっ てよく聞こえなくなったり、痛みですが、特徴的な症状はなく耳官の閉塞の有無はなかな か判りません。治療は中耳炎と同じです。                     

第8脳神経障害
内耳神経ともいい、直接脳からから出ている12個の脳神経の内の8番目 の物で平衡感覚の維持に関係する前庭神経と聴覚に関係する蝸牛神経があります。中耳炎 内耳炎が拡大すると、耳官などを侵すとともに第8脳神経をも侵します。第8脳神経が侵 されると平衡感覚、聴覚ともにおかしくなり、まっすぐ歩けなくなったり音に反応しなくなったりします。片側の病気が両側の異常へと発展していきます。また第8脳神経は、髄 脳(延髄)を起始部としていますので、炎症が波及すると呼吸障害などの生命の維持の根 幹に関わる部部に障害を受けることになります。


次に鼻の病気です。鼻は、呼吸器の一番外側にある器官で直接外気に触れますので感染 などを起こしやすい所です。その鼻の病気を見ていきましょう。

鼻炎
上部気道の鼻腔の炎症のことです。原因によりウィルス性、細菌性、アレルギー性 などに分かれます。鼻炎の代表がヘルペスウィルスによる猫伝染性鼻器官炎の鼻炎です。 症状は、鼻炎全般にいえることですが、くしゃみ、鼻汁(鼻水)、ひどい場合の開口呼吸 等です。2次的に食欲不振があります。これは鼻が詰まったことで匂いが嗅げずに食事を とらなくなってしまうためです。治療は、抗生物質などの投与や、冷気を吸わせないこと 等です。食事に関しては、匂いの強い物を与えることで食欲を惹起します。鼻炎もほって おくと、気管支炎や肺炎に移行しますので、初期の内に治療して下さい。猫伝染性鼻気管 炎にはワクチンがありますから必ず接種しておいて下さい。             

副鼻腔炎
鼻炎に併発して起こります。まれに前頭骨の骨折により単独に起こすこともあ ります。症状は、鼻炎と同じで厳密に鼻炎との区別は出来ません。ひどくなると、前頭骨 の壊死を起こし、前頭部が腫れてきます。治療は、前頭骨の壊死が無いかぎり鼻炎と同じ です。壊死がある場合は、手術で腐骨の除去が必要になります。           
クリプトコッカス症 鼻炎の一種で、原因が真菌のクリプトコッカスによるものです。症状は一般の鼻炎に準じますが、ひどい場合に、肉芽腫の形成による鼻腔閉塞が見られます。 治療は、真菌の検出とともに抗真菌剤を投与します。肉芽腫の形成がある場合には、外科的に摘出する場合もあります。治癒後も鼻腔粘膜の肥厚が残り、呼吸音の亢進などが続くことがあります。                                

鼻出血

いわゆる鼻血です。原因は色々で、鼻炎による鼻粘膜損傷が一番多いですが、異物吸引後のクシャミのしすぎなどでも起こります。希に鼻腔内腫瘍によることもあるので、 続くようなら動物病院で診察を受けて下さい。たかが鼻血。されど鼻血です。     

歯槽骨膜炎
犬歯や第3前臼歯の歯根炎が進行して、歯槽骨が融解し鼻腔や副鼻腔まで炎 症が波及したものです。一般の鼻炎や副鼻腔炎の症状は同じですが、歯根の炎症のある側 だけの片側性です。抗生物質などの治療に反応が悪く、歯根の処置をしない限り完治しま せん。一般には、問題のある歯を抜糸することによって治癒しますが、歯根から鼻腔への 開口部が閉じない場合がありますので、その場合は手術によって閉鎖させます。    

鼻腔内腫瘍
色々な腫瘍が発生してきます。初期は、鼻炎と同じ症状ですが、腫瘍の拡大とともに鼻腔閉鎖などに移行していきます。治療は、大部分が外科適用となります。


耳の病気、鼻の病気ともに重要な器官が侵されるばかりでなく、生命の根幹に関わる器 官につながっている所ですから、異常が見られたらすぐに動物病院で診察を受けて下さい。 初期の治療であれば、どうということはないいものも、ひどくなると後遺症が残ったりしますから注意しておこなってください。


 
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