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ノミの駆除とその影響

これからの季節にもっとも厄介な奴。ノミの退治法について考えてみましょう。あわせて 使う薬品などの猫に与える影響についても考えてみます。


■猫のノミ

約2000種といわれるノミのうち、猫で見られるのは、ネコノミです。ネコノミは寄生 宿主を限定しないのも特徴です。
これからの季節ネコノミの吸血によって、猫が皮膚炎やアレルギーや貧血を起こす例が多 発してきます。また猫だけではなく、人間においてもネコノミ由来の刺咬症やアレルギー疾 患が増加しています。これからノミの習性を勉強してノミに立ち向かいましょう。


■ノミの分布

本来ノミは、熱帯や亜熱帯の海岸や湿った所で生息していましたが今では、セントラルヒー ティングの普及により北欧南部にまでその活動範囲を広げています。日本では全国どこでも 普通に見られます。 家庭内では、卵や幼虫や蛹がカーペット、床、ソファー、ベッド等、ペットが寝そべるよ うな場所に多く見られます。特に幼虫期は、負の走光性(光から逃げる)、正の走地性(下 へ向かう)を持ち、カーペットの奥やゴミの下にいることが多く、飼い主にもなかなか見つ けられないことが多いようです。ペットが最も多く過ごす場所、つまり寝床が典型的な幼虫 の繁殖場所(ホット・スポット)となります。 屋外では、芝生などの直射日光が当たるところにはノミはいません。ノミの屋外での繁殖 はほとんど不可能だと言われています。


■ノミのライフサイクル

適度な気温と十分な湿度があればノミのライフサイクルは約3週間で完了します。1匹の ノミは一日に20個、一生の間に400個の卵を生みます。もしその卵が全部親虫になったら・・ 考えただけでゾッとします。では、産み落とされた卵からノミの一生を見てみましょう。

〈卵〉
卵は、0.5mmの真珠色の真円形をしています。卵は猫の毛の中に産み落とされますがす ぐに落下します。産卵後3〜4日で幼虫になります。

〈幼虫〉
幼虫は動物に対する寄生性はなく、フケやアカ等を食べて育ち、特にノミ成虫の糞 は発育にとって欠く事のできないものです。初令幼虫から終令幼虫までの発育は、7日から 18日ぐらいです。

〈蛹〉

幼虫は、絹状の繭を紡ぎ、その中で蛹へと変態します。繭には粘着性があり、カーペッ トの線維の中で環境中のゴミなどがくっつきカモフラージュされています。蛹になって約10 日で羽化の準備が整います。成虫発育を完了した蛹は、繭から出るきっかけとなる刺激を受 けるまで、数日から数週間、時には数カ月繭の中に留まっています。宿主が近くにいる刺激 (二酸化炭素、振動や熱等)をうけると羽化します。

〈成虫〉
羽化した成虫は、直ちに宿主を捜し始めます。宿主の発する、体温、振動や二酸化 炭素に誘引されて宿主を見つけます。もし宿主が見つからなくても、吸血なしに1週間から 3週間は生存出来ます。  ひとたび宿主を発見し飛び移った後は、宿主の体の表面を動き回り血管を捜し、数秒の内 に吸血を開始し、8〜24時間の間に交尾をします。  雌ノミは1日に自身の体重の2倍の重さの卵を生みます。数にして20個程です。それだけ の卵を生むために1日に体重の15倍もの量の血液を吸血します。  成虫の寿命は約3週間です(長いものでは6週間)。その間雌ノミは卵を生み続けます。 またよほどのことがないかぎり別の宿主に移動することはありません。 ノミのもたらす病気と被害   ノミのもたらす病害には、直接的にはノミによる皮膚炎やアレルギー性皮膚炎がかります。 また間接的には、条虫の中間宿主となります。病害の詳しい解説については、別の機会に譲 りたいと思います。


ネコノミの駆除方法

ノミ取り首輪
ノミ取り首輪には大きく分けて3種類あります。ガスタイプは、首輪から有 効成分がガスとして蒸散することによってノミを退治します。このタイプは、水に弱く、首 輪が雨に濡れると有効成分が一時に蒸散してしまいます。この一気に蒸散するときに装着周 囲に皮膚炎などを起こすことがありますし、中毒症状を呈することがありますので注意が必 要です。このタイプは、あまり猫には使われないと思います。パウダータイプは、首輪から いわゆるのみ取り粉が持続的に出るものです。装着初期に大量に粉を吸い込んだときなどに、 嘔吐や元気消失をみることがありますので注意が必要です。油性タイプは。有効成分が、に じみ出てきて皮膚表面を覆うことによって効果を発揮します。このタイプは、匂いがきつい ので装着時にものすごく気にする猫がいます。また。慣れるまで元気食欲が低下することが ありますので注意が必要です。開封後直ちに装着せずに2.3日陰干ししてから装着すると よいかもしれません。ペットショップで売られているものの中には、猫用もあるようですが、 我々獣医師が薬品として使うものには猫用に認可されたものはありません。ただ実際には、 犬用であることを了解していただいた上で猫にも使用しています。ほぼすべてのものが劇薬 扱いになります。

散剤

いわゆるのみ取り粉ですが、以前のDDTなどに比べると格段に安全性は向上しています。使い方は製品によって違いますが、だいたい振りかけて一定時間後に払い落とすか、 流すのが一般的です。そのままにしておくと、猫は全部舐め取ってしまいますので危険です。 ノミの繁殖していそうな所に撒くのも効果的です。ただその場所に猫が入らないようにして ください。これも原則犬用です。

滴下薬
この薬は、首の後ろの肩甲骨の間にたらすことによって経皮吸収され、血液に乗り 全身に分布し、ノミがどから吸血しても有効成分をいっしょに飲み込んでしまい効果を発揮します。強い薬ですから、連続投与はできません。最低3週間は間を置く必要があります。 また多頭飼育の際は、お互い投与部位を舐めあわないように注意が必要です。多量に飲み込 むとコリンエステラーゼ(神経伝達物質)を阻害して、中毒症状を呈しますので注意してください。肩甲骨の間に滴下するのも、自分自身で舐めさせないためです。これには猫用があ ります。この薬品も、劇薬です。

スプレー

これには2種類に分けられます。一つは猫自体に噴霧するタイプです。パイメクトロール(除虫菊成分)などの天然の殺虫成分を含有しています。噴霧直後に舐めとるとよ だれをだらだら流すことがありますが、中毒を起こすことはありません。これはノミを殺す というよりは、忌避剤として使います。ムース状のものもあります。もう一つは、ペットハ ウス用といわれるもので、寝床などのノミの繁殖場所に噴霧するものです。直接猫に噴霧しはいけませんし、噴霧後しばらくは猫を近づけてはいけません。効果は強力です。

シャンプー

強いのから弱いのまで色々あります。ただいえることは、完全にノミを殺滅さ せるほど力はありません。ノミ取りシャンプーで、洗うとノミは仮死状態になりますから生 きかえる前に洗い流してしまってください。一般のシャンプーのときより流れやすいはずで す。全身泡立てた後すぐなに流すのではなく、しばらくそのままにしておくのがポイントで す。その時泡を舐めさせないように注意してください。

経口薬

経口的に投与する殺虫効果のある薬品もありますが、原則的に犬用です。 ノミ卵・幼虫発育阻害剤:2年ほど前に発売になった、卵や幼虫の発育を阻害することによっ てノミを退治しようとする新しいコンセプトの薬品です。ただ成虫には効果がありません。 今現在、ノミの寄生が確認できている場合は、他の成虫に対する薬品との併用が必要です。この薬の効果がはっきりするのは、投薬を始めてから2〜3ヶ月後です。安全性は、非常に高い薬品です。

以上が、代表的なノミ駆除に用いられる薬品です。この中にはかなり強い薬品も含まれますので、病中病後や妊娠中の猫についの装置、使用はさけるべきです。しかしノミが多数寄生している場合には、かえって体力の消耗を来しますし、痒みによるストレスが、病気の回復を遅らせることもありますので、そのような場合は動物病院で相談してください。


 
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