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こわい内外寄生虫対策

まだまだ寒い日が続いていますが、暦の上では啓蟄を迎え虫達が冬眠から覚める時が来 ました。
猫達にも、この時期から寄生虫対策をしておくとこの一年、痒みや下痢に悩まされなくてすみます。まずは猫達に関係ある寄生虫にどんなものがあるか見ていきましょう。


猫に寄生する代表的な内部寄生虫

猫回虫
猫回虫は日本全国でみられる代表的な内部寄生虫です。虫体は、黄白色の長さ3〜12cmの細長い虫で、主に小腸に寄生しますが、成猫においては、消化管内より筋肉内などに小虫として寄生していることの方が多いようです。消化管内寄生の病害としては下痢、 嘔吐、栄養不良等があります。筋肉内等に寄生している小虫については、授乳期の子猫へ の感染源になりますが、直接的な病害は無いといわれています。感染経路は、母猫からの 授乳に伴う垂直感染と、他の感染猫から排泄された虫卵や待機宿主のミミズやゴキブリを 補食することによる水平感染の2通りがあるます。診断は、糞便検査で行います。消化管 内寄生についてはほぼ完全に診断できますが、筋肉内等にに寄生している小虫については 事実上診断不可能です。駆虫は、適正な薬品を使うことで完全にできます。      

猫鈎虫

回虫と同じく、日本全国で普通に見られます。虫体は、8〜20mmの灰白色の細長 い虫で、主に小腸粘膜に食いつき血液を吸っています。病害は、下痢や貧血です。感染経 路は、排泄された虫卵がやや成長した第3期感染幼虫の経口感染や鼻粘膜や皮膚の傷から  感染する経皮感染、授乳感染や胎盤感染があります。診断は糞便検査で行います。駆虫は、 適正な駆虫薬を使用することで100%可能です。                   

条虫類
@肥頸条虫(猫条虫)、A瓜実条虫(犬条虫)とBマンソン裂頭条虫が猫に寄生 する代表的な3種類です。虫体は、@とAは50cm程度、Bは、1mにもなり、3種とも黄白 色で、片節構造を持ちとても薄く、へばりつくように小腸に寄生します。病害は、栄養不 良やまれに下痢や嘔吐がみられます。感染経路は中間宿主の補食によって成立します。条  虫類は、必ず中間宿主を1〜2種必要としますから、直接虫卵を接種しても感染しません。 中間宿主に@はネズミ類、Aはノミ類、Bはケンミジンコとカエル、ヘビ、鳥類が知られ ています。診断は、中間宿主の補食の可能性と、糞便検査で行いますが、虫卵は片節の中 に入った状態で肛門から便に混じらずに自力で出てきますので、糞便検査では陰性になる ことがあります。片節を見つけるのが一番確実です。排便直後の便の表面に伸びた状態で 1cm程の虫がいたらそれが条虫の片節です。また片節が乾燥すると、ちょうど白ゴマみた いになりますので、猫の肛門や、寝ていたところに白ゴマ様のものが落ちていたら条虫感 染を疑って下さい。駆虫は、条虫用の駆虫薬で100%可能です。ただし条虫の種類によって薬用量が違いますので、できれば片節をもって獣医さんに行って下さい。       

コクシジウム

これまた日本全国どこでも見られます。虫体は、糞便中に排泄されるオー シストで30〜50μmで、小腸粘膜細胞内に寄生します。病害は、激しい下痢です。若齢の猫 では、致命的になることもしばしばあります。感染経路は、オーシストの経口感染で成立します。自己感染もあります。また待機宿主のねずみを補食することでも感染しま す。診断は、糞便検査で行います。駆虫は、コクシジウム用の駆虫剤を用いますが、完全 に駆虫するには、2週間程かかることがあります。                 

トキソプラズマ

コクシジウムと同じ仲間の原虫類の寄生虫です。虫体は、オーシストで 10μm程度で、小腸の粘膜細胞内主な寄生部位ですが、筋肉内等で休眠状態で持続感染して いることもあります。病害は下痢等ですが、休眠状態では無症状のこともあります。感染 経路は、中間宿主の補食によって成立します。中間宿主には、多種多様のほ乳類や鳥類が なります。人間もその1つです。診断は、糞便検査と血清検査で行います。駆虫は、専用 の駆虫剤を用いて行います。この寄生虫は、猫での問題よりも、中間宿主として人間が感 染したときに、多くは不顕性感染ですむのですが、ときに肺炎などを起こすことがあるの で、公衆衛生上問題になることがあります。                    

ジアルジア
発生頻度はさほど高くはありませんが、感染すると激しい下痢を起こし若齢 猫では死亡することもあります。虫体は、20μm程度の、洋梨状をしていて、活発な運動性 があります。寄生部位は小腸上部や胆嚢です。感染は、直接経口感染で成立します。診断 は、糞便検査で行いますが、非常に小さいために、運動性がなくなると発見しにくくなり ます。ですから検査にはできるだけ新鮮な便が必要です。駆虫は、猫用の駆虫薬はありま せんが、人用駆虫薬でできます。人に感染するジアルジアと同種かどうかは、まだ分かっ ていません。                                  

フィラリア

和名を犬糸状虫といい、猫を終宿主とする寄生虫ではありませんが、感染が 報告されています。元々は、犬の心臓に寄生する、20cm程の素麺状の虫です。猫は、中間宿主でも待機宿主でもありませんので迷入感染です。発生頻度は、高くありませんがひと たび感染すると激烈な症状を出します。急激な食欲や元気の不振、呼吸困難等です。感染 は、第3期感染子虫を保有する蚊に刺されることで成立します。終宿主でない猫の体内で は、フィラリアは正常な成長ができず、未成熟虫のままで心臓に移行します。犬では小虫 のミクロフィラリアを血液中から探したり、血清診断で診断可能ですが、猫においてはフ イラリアが成熟しないためにミクロフィラリアを産出しなかったり、血清検査は犬用だっ  たりで検査が不可能なことがほとんどです。治療は、犬用の薬品を使うことになるですが、まだ安全性が確立していません。外科的に摘出することも不可能なことが多いと思います。 この寄生虫については猫用の予防薬がありますから、心配な方は予防することが大事だと 思います。 


■猫に寄生する代表的な外部寄生虫

猫ノミ
猫ノミは、日本全国どこででも見られます。成虫は、1.5〜2mmで左右に扁平 な形をしています。後ろ足が、非常に発達していて約30cmの跳躍力を持っていますが、その跳躍力を利用して猫に寄生して、体表を動き回り血管を探します。血管を見つけると、口器を差込み吸血します。感染は、脱落したノミの飛び移りによって起こります。病害は、ノミの吸血行動に伴うものと、アレルギーによる痒みです。猫ノミは、あまり終宿主を限しませんので、人にも寄生して吸血します。駆虫には、色々な方法があります。猫にあっ た方法を選択する必要がありますので、動物病院で相談して下さい。またノミは、条虫の感染源にもなりますので注意が必要です。                     

耳ヒゼンダニ

猫の外耳道に寄生して、掻痒を伴う炎症を起こします。虫体は、0.5mm程 度で、よくみると肉眼でも動いているのが見えます。日本全国どこででも見られます。感染は、すでに感染している猫との接触等で起こります。診断は、耳垢の検査にて行います。 治療は、ダニ用の点耳薬にて行います。 


■内外寄生虫の感染予防対策

各寄生虫の説明でも触れましたが。内部寄生虫が感染しやすいのは幼齢の猫です。回虫や鈎虫のように、胎盤感染したり授乳感染したりして、かなり高率で感染しています。ま た症状が激しく出るのも、体力の少ない小さい猫達です。ですから子猫を飼い始めたらま ず糞便検査を行って下さい。そしてもし寄生していたら直ちに駆虫して下さい。たとえば回虫は、成猫になってから感染しても、成虫まで成長せず筋肉内等で休眠してしまいます。 妊娠したり、大病で体力が落ちない限り感染源にもなりません。まずは、子猫の内に、寄 生虫をすべてきれいにしてしまって下さい。だからといって成猫は寄生虫の心配をしなく ていいわけではありません。少なくとも1年に1度は、糞便検査を受けて下さい。成猫で も回虫以外のものは寄生しますから。

成猫で、問題になるのはノミです。吸血行動に伴う痒み、多数寄生による貧血、長期寄 生によるアレルギーの発症、ノミを中間宿主とする条虫の寄生。成猫の寄生虫に関するも のの内、5割以上にノミが関係しています。ノミ対策が完全にできれば、室内飼育の猫で あればほとんど寄生虫の心配はしなくてもいいぐらいです。1度入り込んでくると、完全 に駆除するのは至難の業です。ですから外に散歩に行く猫は、帰ってきたら毛を分けてノ ミをもらってきていないか確認を毎回して下さい。水際の1匹は、3ヶ月後の100匹です。 (ノミの成虫は、3週間から6週間の寿命の間に毎日20個の卵を産卵します。成虫まで成 長するのが1割としても3ヶ月後には144匹になります。)もし入り込んでしまったら、今 までは家の建て替えでもしない限り、完全駆除は不可能に近かったのですが、今はいい薬 があります。月に1度飲ませることによって、ノミのライフサイクルを遮断できるような 薬が発売になっていますので、動物病院で相談して見て下さい。これを使えば新たにノミ をつれてこない限り、3ヶ月から半年で完全にノミを駆除できます。でもまず第1は、産 卵を始める前にノミを退治してしまうことです。もしノミの寄生が確認できたのなら、条 虫のことも心配して下さい。ノミは、条虫の中間宿主ですから、ノミの寄生している猫に は、高率で条虫も寄生しています。肛門の周りや、寝床の白ゴマに注意して下さい。  

寄生虫対策の要点は
なるべく外には出さないこと。
中間宿主も含めて感染源(外の野良猫等)に近づけないこと。         

外部寄生虫については水際で退治すること。                 

定期的に糞便検査を受けること。子猫のうちは特に。


 
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