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■厳寒期の猫の体と健康管理

一年の内で、一番寒い季節になりました。お宅の猫ちゃんは、元気にしていますか?
もともと南方系の動物である猫は、あまり寒い冬を得意とはしていません。人間と一緒に生 活するようになって世界全国の環境に順応してきましたが、真夏の一番暑い時でも、ほとんど水を飲まなくても平気な顔をしている猫たちも、冬の冷たい乾燥した空気にはまだま だ弱いところがあります。
一年中暑い所で生活していた動物の末裔と考えると、至極当た り前のことなのかもしれません。このことを頭に入れて、厳寒期の猫の健康管理について考えていきましょう。


■猫の体の冬支度

夏が過ぎ、秋になり朝晩の空気が冷たくなりまた、一日の日照時間が短くなると猫達は 来るべき寒さに対して本能的に冬支度を始めます。毛の密度を増し、長さも長くします。 犬ほど劇的ではありませんが夏の頃に比べて、フカフカの被毛になり冬の寒さに対応でき るようになります。また食事量も増え体脂肪率を増加させます。冬の暗く寒い、獲物の少 ない時期を乗り越えるための野生時代の名残です。  

現在、我々の側にいる猫達の環境はどんな具合でしょうか。外飼や、一日中ほとんど外 にいる猫達は(あまり勧められた飼い方ではありませんが)、季節の変わり方をはっきり と感じています。ところが完全に家の中で生活している猫達は、今一つその辺のことをはっきり認識できずにいます。現代の我々の生活では、室内の平均気温が一番下がるのは、11 月下旬から12月初旬だといわれています。

暖房を使い出すと、一気に5℃も室温は上がり、 一番気温が低い時期とその温度が自然界とはずれているのです。猫達は、温度だけは春に なったと思いますが、日の出は遅いし春にしてはちょっと変だなと感じ、冬支度も中途半 端になってしまいます。一日中炬燵の中に入っている猫などにその傾向は顕著に出ます。 真冬の一番寒いときに、完全に夏の装いをしています。一度炬燵の中の温度を測ってみて 下さい。真夏より暑いはずです。猫達は、炬燵の中の環境に見事に適応しているのです。

そのこと自体は、何ら問題はないのですが、食欲旺盛なのはいいことだと、食事の量を増 やしたりするとたちまち肥満になります。冬の準備もできていないのに、今日は天気がいいから外に出してあげましょうなんてことしたら、すぐに風邪をひいてしまいます。室内 で飼っている限り、冬の準備が完全にできないのは仕方のないことですから、これ自体獣 医学的に問題ないので、そのことをしっかり認識して飼育管理してあげましょう。


■冬の猫の健康管理

★体重管理をしっかり。冬場に太らせてしまう飼い主の方が以外と多いのです。暖房の効 いた部屋で一日中ゴロゴロしている猫の必要としているカロリーは、夏場活発に活動している時に比べて少ないはずです。定期的に体重測定をして、食事の量を調整してあげて下 さい。脂肪が1kg増えると血管3000m延長されるといわれています。100gや200gの体重増 加も猫の循環器にとっては大変な負担になります。                 

★一日の温度変化に注意。暖房を効かせているときとそうでないときの差をなるべく小さくして下さい。夜暖房を切るときは、ペットヒーターをつけてあげるとかして対処して下さい。一日の中で夏と冬が繰り返されるようなことはさけて下さい。         

★乾燥に注意。部屋の金属をさわってビリッとくるようだと、乾燥のしすぎです。加湿器 などで湿度の調節をしてあげて下さい。ひどい場合猫にさわろうとしてビリッとくること もあります。猫にとっては恐怖以外の何者でもありません。飼い主の手を怖がる前に調節 してあげて下さい。過度の乾燥は、呼吸器にダメージをあたえます。乾燥した空気を吸い 続けていると、気管の中の絨毛が機能しなくなります。この絨毛は、中から外へ異物を押し出す役割をしています。風邪の原因のウィルスも、絨毛がしっかり機能していれば感染 する前に、外に押し出してくれます。

★被毛の手入れをこまめに。中途半端に冬の準備をした猫達は、暖房が効きだすと、こんどは中途半端に春の準備をします。冬の間中何回もこれを繰り返すこともあります。毛を 少なくしたり、増やしたり大変です。グルーミングを一生懸命するのはいいことなのです が、飲み込む毛の量も多くなり、毛球症になりやすくなります。ですからスリッカーブラシで余分な毛は早めにとってあげて下さい。ただしやりすぎには注意して下さい。   

★飲み水に注意。体脂肪を多く蓄積した猫は、あまり水を飲みません。何故かというと、 脂肪を肝臓で分解することによって水を得ることができるのです。ラクダがこぶの中の脂 肪を分解して、水を得るのと同じ機能です。人や犬もこの機能を持ってはいますが、彼ら ほどではありません。本来水の少ない暑い時期に必要な機能ですが、必要以上に蓄積され た脂肪があれば冬でもこの機能は使われます。この機能で作り出される水は、必要最低限 です。猫は乾きに強いので最低限の水分が補充されるともう飲みません。結果的に夏より も乾いた状態ができあがってしまいます。尿は、濃縮された少量のものしか排泄しなくな ります。後でも書きますが、FUSや腎不全の原因になります。ですから必要以上の脂肪 をつけさせないことと、新鮮な水をいつでも飲めるようにしておいて下さい。水道水は冷 たいですから、室温まで戻したものを与えて下さい。Foodと一緒に冷たい水道水を与えて も、冷たくて飲まないことがあります。そのとき飲まないと先程の機能で最低限の水が補 充され、せっかく室温になった頃にはもう水には見向きもしなくなります。      

★トイレの場所に注意。猫が普段がいる場所や寝床は、暖かくしていてもトイレの場所ま で暖かくしないことがあります。寒さの嫌いな猫は、トイレをぎりぎりまで我慢してしまいます。冬場の濃縮された尿を長時間膀胱の中に入れっぱなしにしておくことは、膀胱炎 を作る実験をしているようなものです。ですからお風呂場のように寒いところではなく、 暖房の効いた部屋にトイレもおいてあげて下さい。当然トイレの掃除はこまめに。   

★ワクチン接種を忘れずに。ワクチン接種を、一年以内に実施していないならすぐに接種 して下さい。病気の、最後の砦は抗体です。今まであった3種混合ワクチンのほかに、昨 年遺伝子組み替え技術による猫白血病ウィルス(FeLV)に対するワクチンも発売になりま した。どのワクチンをどのようなスケジュールで接種するは、かかりつけの動物病院で相 談して下さい。後悔先に立たずです。  


■冬の猫の病気

野菜ではないですが、動物病院でも病気に季節感が希薄になりつつあります。各家庭暖 房が行き届き、ワクチンの接種率も上がり冬特有の病気というのが少なくなりました。夏 場にクーラーの効かせ過ぎで、風邪をひかせたりFUSになったりと、「昔は冬にしか見な かったんだけどな」などと呟きながら診療しています。そのなかで比較的寒い時期に多い 病気を簡単に書きます。                             

●FUS(猫泌尿器症候群) 
膀胱の中に、砂がたまり膀胱炎を引き起こし、ひどいとき には尿閉といっておしっこが出なくなります。原因は尿のpHがアルカリで、マグネシウム 濃度が高く、濃縮されることです。ですからマグネシウム濃度が適正で、尿のpHを弱酸性 にするFoodで、飲水量を増やしてやることで予防できます。Foodを買うときに、パッケー ジをみてFUSの対策を施してあるFoodを選択して下さい。わからなければ、動物病院で相談 して下さい。                                  
●FVR(猫ウィルス性鼻気管炎)
ヘルペスウィルスが、原因で起こる上部呼吸器の炎症 です。いわゆる猫の鼻風邪です。目やにや、鼻水がひどく食事もままならなくなります。 一度感染して、治ってもそれから2〜3年はウィルスを排出し続け、感染源になるといわ れているやっかいな病気です。ワクチンがありますから、かかる前に予防して下さい。  ●腎不全 先程も書きましたが、冬になると猫は飲水量が減ります。ところが体から出て くる老廃物の量はは夏とさほど変わりません。この老廃物は、水分と一緒に腎臓で濾され て血管の外に出て、尿として体外に排泄されます。老廃物と一緒に血管から出ていった水 分は尿になる前に、再吸収されて血管の中に戻ります。体内の水が少ない冬の時期は、こ の再吸収行程がフル回転します。このフル回転にも限界があります。限界を超してしまっ て、体内の老廃物を濾過しきれなくなってきた状態を腎不全といいます。再吸収がうまく 行かなくなると、体は水を要求しますので、最近やたらと水を飲むようになったなと思っ  たら要注意です。早い時期に見つければ、食事管理で改善できますから、おかしいなと思っ たらすぐ動物病院で検査を受けて下さい。

猫は、砂漠の生き物ぐらいに考えて健康管理を行って下さい。


 
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