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■目の解剖の話

目の病気の話をする上で、どうしても避けて通れないのが目の構造の話です。
ちょっと 分かりにくいかもしれませんがおつきあい下さい。下2枚の絵は犬の左目のものです。
上の絵の縦の太い線の位置で輪切りにしたのが下の絵です。この先、目の構造で分からない 言葉が出てきたらここに戻ってきてください。
猫も人も、基本的には同じ構造です。    
目の大きさですが、眼球の直径は、人では24mm、犬で17〜25mm、猫で20〜22mmです。角 膜の直径は、人で12mm、犬で12.5〜17mmです。
このように、犬や猫は、人に比べて体は随 分と小さいのに目の大きさはほとんど同じです。それともう一つ目の大きさという意味で 面白いことは、目は出生時にほぼ完成されています。体全体は成長と共に何倍にも大きく なりますが、目はほとんどそのままです(機能的には不完全ですが)。
それでは、代表的な目の構造についてご説明しましょう。(ここからがちょっと退屈で す。ご勘弁を。)

犬の左眼の外観図

犬の左眼の外観図 Tech.Mag.Vet.Surg.Vol.4 No.3 より引用

犬の左眼横断面図

犬の左眼横断面図 Tech.Mag.Vet.Surg.Vol.4 No.3 より引用

■眼瞼(まぶた) 
人は、上眼瞼と下眼瞼の2枚ですが、犬や猫は、目の内側から出てくる膜状の第三眼瞼 があります。別名瞬膜とも言いますが、この言い方は正確には鳥類や爬虫類のものです。 鳥類や爬虫類が瞬きするところをご覧になったことがあればお解りだと思いますが、普段 の瞬きでは瞬間的に目の内方から膜状のものが出てきて行っています。この瞬時に出てく る幕と言う意味で瞬膜と言われます。犬や猫では、このような瞬きはしませんので、正確 には瞬膜とは言いません。第三眼瞼です(我々獣医師も普段便宜的に瞬膜と言っています が)。  

この眼瞼は、眼球の保護という意味で非常に重要な役割をしています。物理的な保護は 言うに及ばず、瞬きをすることで涙を眼球表面にまんべんなくいききわたらせています。 もし瞬きができなくなったら、とたんに目の表面は乾いてしまって、ぼろぼろになってし まい失明してしまいます。また上下のまぶたが瞬きの瞬間に、接触することも重要なこと です。
このことを瞬目反射と言って、上と下のまぶたが接触したという信号が合図になっ て涙の一部が分泌されます。
ですから、シーズーやバグのような短鼻種では、目が他の種 類より出ていますので瞬目反射がうくできずに、涙の量が減ってしまい乾性角膜炎(KCS)に なってしまうことがあります。この場合は、ほんのちょっとだけ手術で眼瞼を短縮してあ げるだけで治すことができます。

■結膜  
結膜は、眼瞼を軽くめくったときに眼瞼と眼球の間に見られる少し赤みがかった膜です。
この結膜の眼瞼側を眼瞼結膜、眼球側を眼球結膜(球結膜)と言います。眼球結膜は、強 膜(白目)が角膜に移行する部分まで眼球を被っています。眼瞼のところで書きました第 三眼瞼は、この結膜(眼球結膜)がヒダ状に突出したものです。ですから第三眼瞼のこと を結膜半月ヒダと呼ぶこともあります。結膜と強膜の間には、テノン嚢(鞘)と言われる 薄い膜があり、これが結膜と強膜の潤滑油の役割をしています。

■角膜 
角膜は、体の中で唯一の完全に透明な組織で、表面より角膜上皮、角膜固有層、デスメ膜、角膜内皮の4つの層から出来ています。
上皮の普段の新陳代謝は、角膜周囲(角膜輪 部)で出来た新しい細胞が中心部に移動していきながら表層へも移動し、古くなった上皮 細胞は表面よりはがれ落ちていくことでおこなわれています。
この新陳代謝は常に行われ ており、透明性を維持しています。突発的に傷を受けた場合などは、傷の周囲の細胞が移 動してきて傷を被い治癒させます。デスメ膜と内皮は、傷を受けても新しい細胞が再生さ れてくることはありません。
小さい傷の場合は周囲の細胞が拡大することで傷を治癒させ ますが、それでもふさぎきれないような大きな傷の場合は、結合組織が侵入してきて治癒させます。ただその場合は透明性が維持されません。
完全に角膜が破けてしまうような大 きな傷を受けた場合にはどうしても白い瘢痕が残ってしまうのはこのためです。

角膜の組織写真

角膜の組織写真 Tech.Mag.Vet.Surg.Vol.4 No.3 より引用

■涙  
目表面を被って目を潤しているものが涙です。涙は、涙腺、瞼板腺、結膜の杯細胞と第 三眼瞼腺から分泌されています。涙は目の表面で表層から油層、水層、粘液層の三層から なり涙膜とも呼ばれています。

油層は、眼板腺より分泌され下の水層が乾燥しないように しています。眼板腺からの分泌には瞬きの際に上下の眼瞼が接触する刺激が必要とされて います。眼瞼の所でも書きましたように短鼻種で乾性角膜炎が多いのは、この油層少ない か無いためです。涙の大部分を占める水層は、涙腺と第三眼瞼腺より分泌され、無血管組 織である角膜への栄養供給を行っています。内層の粘液層は、結膜上皮の杯細胞から分泌 され、涙がすぐに流れ落ちてしまわないようにしています。


 
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